総量規制って何?銀行カードローンが消費者金融に勝る理由
2000年代、テレビで消費者金融のコマーシャルばかり盛んに流れていたことをご記憶の方も多いのではないでしょうか。現在は少し変わって、健全さをアピールする消費者金融と、手軽さを強調する銀行カードローンのコマーシャルとで二分しているような印象です。この変化はどうして起こったのでしょうか。
コマーシャルの効果があってかどうか、かつては消費者金融の借金に悩む専業主婦が大量に存在しました。当時の消費者金融は審査が甘く、収入のない人や既にたくさんの借金を抱えた人にでも簡単に貸してくれたからです。金利も29%と高く、収入のない人が一度借りたら容易に返せるものではありません。結果、借金から生活苦に追い込まれる人が増え、そのことが社会問題化しました。
借金苦に悩む人を減らすために2010年に法改正が行われました。ひとつは「グレーゾーン金利」の撤廃、もうひとつは「総量規制」の導入です。グレーゾーン金利がなくなったために現在の金利は、10万円未満は20%、10万円から100万円未満は18%、100万円以上は15%が上限となっています。総量規制というのは、個人は年収の3分の1までしか借金ができないという決まりです。
例えば年収が300万円の人は、100万円までしか借入ができません。これは1社からの借入がそうなのではなく、全ての借入の合計がです。金融機関は個人の信用情報を共有しているため、自分から言わなければごまかせる、ということはありません。
ただし総量規制には様々な除外・例外事項もあります。除外事項のいちばんは、住宅ローンやマイカーローンなどです。これらのローンを組んでいる人が新たにカードローンで借りる際には、カードローンだけで年収の3分の1まで借りられます。また「おまとめローン」は例外事項に当たります。複数の借入のある人が、金利の低い金融機関で借り換えて借金を一本化する場合には、利用者のメリットが大きいので、年収の3分の1を超えることが許可されています。
加えて、総量規制が適用されるのは貸金業者だけです。銀行や信用金庫、農協なども貸付を行っていますが、それらは対象外です。つまり、最近頻繁にコマーシャルを見かける銀行のカードローンでは、年収の3分の1を超える金額を借りることも可能なのです。
法改正によって不利に追い込まれた消費者金融と、法改正を機にそれまで消極的だった個人向けの無担保・無保証人融資に乗り出してきた銀行。それらの力関係がテレビコマーシャルの比率にも表れているようです。